損益計算書を大まかに捉えた例ですが、上から順に「売上」から始まって一番下の「当期利益」まで、12の大きな科目で構成されております。
本例では、ある1年間の売上高が300百万円あって、売上原価を差し引いた売上総利益(「粗利益」という言い方をすることもあります)は100百万円。
経費を80百万円使って本業の儲けを示す営業利益が20百万円となり、そこから営業外の活動がいろいろあって会社が稼ぐ力を示す経常利益が15百万円、特別な利益が1百万円あって、税引き前利益が16百万円。
そこから税金を払って当期の最終的な儲けは10百万円でした、となります。
よく使われるのが「変動損益計算書」です。
これは、会社の経費を「変動費」、つまり商品仕入や材料購入、外注費などの売上(売上金額または販売数量)の増減に伴って発生する費用と、「固定費」、つまり人件費などの労務関係費用や減価償却費、電力費、家賃、借入金利など、事業をする限り必ず一定額発生する費用の2通りに分ける考え方です(「変動費」「固定費」の区分は、勘定科目名で一律に区分するのではなく、会社の実情に沿って変化します)。
この「変動損益計算書」を、箱(ハコ)の形でとらえるともっと分かりやくなると思います。
箱(ハコ)の左部分は「売上」です。右側の上段には「変動費」を置きます。変動費は売上の変動に応じて動きます。「売上」から「変動費」を差し引いたものが、「限界利益」となります。
「限界利益」とは、いわゆる付加価値を示す管理会計用語で、「限界利益」から「固定費」を引いた残りが「経常利益」となります。
例えば、定食屋さんでオムライス(一皿500円)を注文した時に、店主が卵を仕入れて調理し、ケチャップをかけキャベツを添えて出した際に材料購入費などに使ったお金(費用)が200円だとすると、「限界利益」は500円-200円=300円となり、この300円から店主の給料や店舗家賃や水道光熱費等を払って残りが出ると、それが「経常利益」になります。
経営では赤字はダメですから、「限界利益」の段階で赤字になる商売はやってはいけないということになります。
定食屋さんの店主は、ある程度のオムライスの売上を見込んで、材料である卵やキャベツをまとめて仕入れることで変動費を少しでも下げようとします。
このように考えると「限界利益」とは「固定費」を払うための元手といっても良く、「売上」より「限界利益」をより重視している企業は多く、「固定費」の削減に取り組んでいるのです。
「(ハコ型)変動損益計算書」では、科目の数は5つ(「売上」「変動費」「限界利益」「固定費」「経常利益」)です。この5つの要素をしっかり管理してゆけば黒字企業になることが可能です。
黒字企業は一般に商品に特徴があり十分な値段が取れているため、限界利益率が高く保たれており、その「限界利益」の中から、「固定費」の代表科目である給与を業界平均並以上に払い、人材育成にも熱心に取り組み、社員が活き活きと仕事をしている儲かる企業文化を築いてゆきます。
一方、赤字企業には赤字になる原因がいろいろ考えられます。黒字企業と比較すると、希望する販売値段が十分に取れておらず、値引き販売や返品などが多く、使用原材料や納入業者との取引条件、生産方法や生産体制、流通ルート等に弱い面があり、それが黒字企業に比較すると変動費率の高さになって現れます。
また、「固定費」においても支払基準があいまいなものがあったり、意味のないお金の使い方があったりで経費の管理がしっかりできていないと、「経常利益」を確保することは難しくなります。
黒字企業の場合は、人件費総額の概ね2倍くらいの「限界利益」を稼いでおられると推定できます。