経営計画とは会社の中・長期的な事業計画で、経営者が今後どのように会社を経営していくのかをまとめたものです。
経営計画をつくる一番の目的は、計画をつくることではなく、経営者が自社の事業について、将来を想像しながら考えを深めていくことにあります。深く、深く考えることがとても大切です。
経営者が深く考え抜いた経営計画をつくることで、経営に「軸」というものができます。
しっかりとした経営方針のもとに自社独自の経営をすることが大切です。
他社の真似をしても経営は決してうまくゆきません。
また、経営計画を継続的に作り続けていくことで目標と実際の数字のギャップを認識でき、自社の強みと弱みを把握し、明確な対策を打てるようになります。
ギャップが生じたら、その理由を深く考え、改善のためのアクションプランを立てて実行する機会を得たと考えるようになりたいものです。
アクションプランとは、企画・計画・戦略の実施プランを明確にするものです。
具体的な実行内容とその実施期間(「いつまでに何をやる」)、責任者(「誰がやる」)などを明確に書くことがポイントになります。
中小企業経営は赤字が続くと業績が悪化し企業体力を消耗してゆきます。
突き詰めれば「会社は資金がショートしたら倒産」します。
業績は振るわなくとも資金繰りが繰り回せれば会社は維持できます。経営計画を作るためにはまず自社の資金繰り状況を正確に把握する必要があります。
資金ショートしないように、月次ベースで正確に資金繰りを管理するとともに、キャッシュフロー計算書において年単位で振り返ることができます。
業績が良い中小企業は社内の現預金の推移(つまりキャッシュフローの推移)をしっかりコントロールしています。
過去のキャッシュの動きを把握し、将来的な予測もシミュレーションしているのです。
こうした経営は一足飛びにはできませんので、まず足元の資金繰り状況を管理するために資金繰り表をしっかり作り込んでいきたいものです。
資金繰りが確認できたら今度は毎月の損益状況を点検します。
資金繰り表と毎月の試算表を突合して実績の数字の流れが把握できたら、今後の月次損益計画を立ててゆきます。
どこに何をどれだけ売りたいのか、仕入れはどうするのが効果的なのか、経費の無駄はないのか、毎月の損益分岐点はいくらなのか、赤字を出さないためにはどのような対策を打つべきなのか、といったことについて、経営者が真剣に数字と向かい合い考えることが大切です。
専門家任せにせず、経営者の頭にあることを全部引き出し、整理し、気づきを得るのが目的です。
経営計画の実践ツールとして、ここではよく知られているSWOT分析について説明させていただきます。
第5図はSWOT分析のイメージです。この分析手法は、経営目標を達成するために自社の置かれている現況(外部環境や内部環境)を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つのカテゴリーで要因分析するものです。
一般に「強み」「弱み」の軸は企業の「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などについて分析が行なわれたうえで、それらがどれほど力を発揮できるかが評価されます。
一方、「機会」「脅威」の軸は、「経済状況」「技術革新」「規制」といったマクロ要因と「競業他社」「顧客」「ビジネスチャンス」といったミクロ要因についての分析が行なわれます。
このようにそれぞれ軸にした表を作成し分析することで、戦略の対処策を立案、実行することになりますが、完成図は百社あれば百社とも全部違います。
四つの象限に落とし込むことで、経営者が普段から考えていることが整理されてゆきます。